当プロジェクトについて

研究テーマ

京都世界遺産「二条城」から学ぶ文化遺産マーケティングに関する研究

研究メンバー

  • 多田実(政策学部政策学科教授)
  • 佐藤守弘(文学部美学芸術学科教授)
  • 佐野明子(文化情報学部文化情報学科准教授)
  • 小黒純(社会学部メディア学科教授)
  • 竹内幸絵(社会学部メディア学科教授)

研究目的・概要

本研究は、ユネスコ世界遺産の一つである元離宮二条城(以下「二条城」と略記)において、従来の地域活性化マーケティングとは全く異なる持続可能な新しいまちづくりの可能性を文化遺産マーケティングの観点から探る。すなわち、マーケティング3.0と呼ばれる「価値主導型マーケティング」をまちづくりに適用して地域の潜在的な「価値」が見出せれば、自律的かつ持続的なまちづくりが可能であることを明らかにする。さらに、その価値の導出のため、アンケート調査などによる定量的な分析に加えて、次世代を担う若者の反応を制作したPR動画で検証するなど、感情科学を考慮した定性的な分析アプローチも試みることにより、その方法論を[次世代型の地域活性化マーケティング]として汎用化・体系化を試み、文化遺産の持続に不可欠な修復募金が思うように集まっていない二条城の現状を打破するようなマーケティング戦略の策定を目指す。

一般的に文化遺産は、自国の歴史と文化への理解を深め、文化的自尊心や主観的幸福感を促進する多元的な価値をもたらす潜在性を秘めている。近年、我が国の重要文化財や国宝は、次々とユネスコの文化遺産にも登録されている。これら文化遺産の国内外の文化遺産保護制度に基づく維持は、莫大な費用がかかることが課題となっている。特に寺社仏閣でない文化遺産は、収入源が少ないため維持については緊急の問題となっている。そこで、本研究では、京都の二条城をモデルに、文化遺産とその周辺地域をも含めた価値を創り出すマーケティング戦略のモデルを、実証的研究知見に基づいて構築する。これにより、文化遺産の多元的な価値を国内外の文化遺産に広く適用できる汎用的なマーケティング戦略として構築・提案できる可能性が大きい。

歴史的な京都という都市の在り方を、京都世界遺産から見つめ直すことで実証的に導き出される成果は、文化遺産の多元的な価値を国内外の文化遺産に広く適用でき、国内外の持続化可能な都市政策や市民生活にも反映可能な成果になると考える。以上のように本研究は、学内4学部(文学部、社会学部、文化情報学部、政策学部)の教員がそれぞれの専門性を集合させることで実現する、前例のない複合的な観点からの京都の地域コミュニティ研究である。

今後の予定

本研究「同志社SDGs研究プロジェクト」において行なったインタビュー調査やアンケート分析のデータは、諸事情により、公開していないことが今後の課題として残る。今後、二条城に関する研究・教育に取り組んだ際は、多種多様な成果をホームページ上で公開することによって、このページが二条城研究における「ポータルサイト」になるよう継続的に情報を発信・公開していくことを考えている。

研究報告レポート

関連リンク