研究報告レポート

本プロジェクトの研究メンバーは政策学部、文学部、社会学部、文化情報学部に所属する教員であるため、いわゆる学際的問題解決アプローチが可能であり、議論を重ねてきた結果、多様な視点から持続可能な文化遺産マーケティングを考えることができた。

まず、二条城を文化遺産マーケティングの視点で持続可能性を考える際、やはり重要なのは集客数アップであることは否めず、ターゲットを若者とした地域マーケティングとして捉えると、SNSを活用したいくつかのプロモーションを提案したい。具体的には、ネット上(オンライン)でのクーポン券などの発行から二条城(オフライン)に誘導する「O2O(Online to Offline)マーケティング」や二条城公式インスタグラムでのフォトコンテストなどが考えられる。このようなプロモーションを実施するのであれば、若者に人気のあるインフルエンサーやユーチューバーなどに京都市から協力依頼を行い、熱狂的なファンを作って「アンバサダーマーケティング」へと展開させることが望まれる。さらには、二条城から徒歩数分に位置する三条会商店街との連携が実現できれば、O2Oマーケティングにおけるクーポン券の他にも、お店の特徴を活かしたコラボイベントの実施なども有効になるだろう。

また、観光学や文化政策の観点からは、オルタナティブツーリズムの考え方を援用したい。これはマスツーリズムと呼ばれる有名な観光名所を中心に周るのではなく、「もう1つの(alternative)」隠れた名所に注目して活用することで、具体的に二条城では主要なおすすめコースからは外れている「梅林エリア」がそれに相当するように思われる。実際に、このエリアに入ってみると、ほとんど観光客は見当たらず、観光客には無駄なスペースのような感じになっていた。梅が咲かない季節でも、梅に関するイベントなどを定期的に行い、まずはこのようなエリアが二条城の敷地内にあることを認知してもらうような策を講じる必要があることは言うまでもない。手始めに、梅の季節にフォトコンテストを開催してみるのはどうだろうか。マスツーリズムでは気づかない、知る人ぞ知るマニアックな素晴らしいスペースであることは一歩足を踏み入れると誰しも気づくと思われるので、そのためには、感情マーケティングを考慮した“エモい”(エモーショナルな)良さに気づいてもらうようなイメージビデオなどの制作・公開が良いかもしれない。

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